DETAIL
建築は、我々の内に潜在している価値観の顕在化であると考える。それは、設計を担う建築家の価値観であり、建築を要請するクライアントや社会の価値観との複合、そして作用と反作用の結果でもある。当然、それらは時代とともに変化するものとなるが、その時の価値観、過去にあったより支持を得た価値観、あるいはまだ出現していない未来の価値観を想定することができるのか、確たる証左はないが、自分自身では近末来の価値観を顕在化させたいと考えてきた。見ようによっては妄想となり、ありえない近未来を設定しているともとらえられかねない。しかし、過去と現在のみに建築の前提を置くことはできない、なぜならば建築は時間を要して出現し、その後は数十年以上の間存在しつづける使命があるからである。近未来への開いかけともいえる別解を考えることが建築の役割だと考えてきた。この本は、これまでの37年ほどの間に問い続けてきた「別解への挑戦」の記録でもある。 ―「はじめに」より−