DETAIL
「建物に外観はいらないのです」
地形の形状を最大限生かしながら住空間と緑の共生した建築を多く手掛けた住宅作家・石井修。
経年と共に建物は疲弊し、見た目が悪くなってしまうのが一般的だが、年月を掛けることで、自然と建物が一体となることを目指した設計手法は独特である。
今でこそ当たり前の屋上緑化やエコ住宅の考え方も、石井修の自邸「回帰草庵」など初期の作品から取り入れられている。
「建物に外観はいらないのです」という一言に、その建築への考え方が集約されている。
1986年度の建築学会賞を受賞した目神山の一連の住宅作品をはじめ、代表作・天と地の家など、美建・設計事務所を創設以来追い求めてきた建築の理想像-大胆なまでの樹木との調和・合体した住宅作品を収めた「別冊住宅建築No.34」以降、平成期の作品を設計年代順に一挙に収録する。
モダニズムが忘れてきた自然の中で生きるということを、あらためて考えさせてくれる建築群である。